浜石製作所で行ったDX導入に向けての下準備

Created
2021/8/18 10:26
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DX導入に向けてまず大切なことは、現場のヒアリングをしっかり行うことです。
浜石製作所ではDX推進に向けて、DX担当者と現場加工者とでヒアリング調査を行い、問題点や改善できるところなどを洗い出しました。
今回は、どんなところに注意してヒアリング調査を行ったのか、現段階で改善した作業などについて紹介します。

DX導入にあたって準備したこと

DX導入を進める前に大切なのが現場のヒアリング調査です。現場の状況を把握しておくと、加工前〜発送までの商品の一通りの流れの中で、どの工程を自動化すべきか明確に検討できるからです。
このヒアリングはDX導入においてとても重要な段階で、加工開始〜納品までの流れが最適に行われているかどうか、改善できる点があればどうITスキルや知識を生かしながら自動化を進めていけるかを考える工程です。いわば、DX計画の骨組みとなる大切な準備段階といえるでしょう。
ヒアリング調査は弊社代表の大石が3ヶ月ほど工場に常駐して行いました。
 
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DX指揮役と現場の作業者の人たちが同じ空間で一緒に作業を進めることがポイントです。現場作業者の人たちが普段何気なく行っている仕事が、第三者の視点からみると実は自動化できる内容だったケースもあるからです。

ヒアリング調査の内容

DX導入においてヒアリング調査と問題点の洗い出しはとても重要です。
では、浜石製作所が実際に行った具体的なヒアリング内容と現段階で改善した内容について紹介します。

⚙材料注文

まずは材料注文からヒアリングを行いました。材料の調達にはお客様から材料をいただく「材支給」と、自分たちで材料を調達する「材込」の2通りがあります。
さらに加工するためには加工したい部品よりも大きな材料を注文しなければいけない場合があるので、それはどのような時かなども確認を行いました。
また、浜石製作所では取引している工場で材料のフライスを行ってくれるため、材料を取り寄せてからさらに別の工場にフライス注文をする必要がありません。工場によって異なるこのような内情なども詳しく現場加工者の方たちからヒアリングしていきました。
 
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(フライス前の材料「黒皮」と言われる)
 
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(フライス後。光沢が出る)
 
DXを導入して改善したところでいうと、材料注文する際の現場加工者の負担が軽くなったことです。
以前は全て現場加工者が図面を確認し、材料の寸法と材質を判断して材料注文先に連絡をしていました。現在はmitsuriERPで材料注文の発注書を作成しているため、過去に登録されている材質や値段のデータがすぐに確認できます。
そのため、現場加工者が材質や値段の判断をせず最終的な確認だけで済むようになりました。現在はメカニカルエンジニアが材料の内容を検討し、最後に現場加工者がその確認をして発注する流れになっています。
 
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⚙段取り

段取りは治具をどんな時に使うのかや、その必要性、さらにクランプとチャックの使い分けと原点出しについて調査しました。
また、以前はバイスとハリの2種類を用途によって使い分けていましたが、現在はバイスをメインに使っています。バイスは挟むだけなので加工範囲に限りが生じてしまいますが、より簡単に材料の固定ができるためです。
工具の交換についてはもっと手軽に工具交換ができないか、長補正が簡単にできる機械について調査しました。
現在は、段取り数を減らすための治具作りも行っています。

⚙CAM

CAMは元々手動で作っていましたが、現在は3軸と旋盤のCAM作成を自動で作成しています。

⚙検査

以前は加工を行う際に図面通りに製品が完成されているかを、人が都度紙の図面と照らし合わせながらチェックしていました。紙の図面は納品まできちんと保管しておかなければいけないし、検査の度に図面を探さなければいけません。また、図面と案件が紐づいておらず、検査の際は記憶ベースでしか図面を出すことができませんでした。
そうした懸念点をヒアリングで洗い出して改善を行い、現在はmitsuriのシステムで図面や案件情報を確認できるようにしています。
 
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具体的な流れ 1. mitsuriにお客様が作成した図面が追加される 2. mitsuriERPに部品の情報を登録する 3. 工程ごとの日付を入力するとガントチャートに予定が反映される 4. ガントチャートで図面の確認が可能
 
検査を行う際にガントチャートを閲覧するとその日に加工する予定の部品が一覧で見れるので、そこから図面を見ることできます。紙を探す手間が省け、きちんと図面と照らし合わせて検査ができるので、手軽かつ時短に処理できるようになっています。

⚙梱包

梱包は手作業で行っているところなので、これから新しいシステムを導入していく予定です。現在は商品を緩衝材で巻いてダンボールに入れています。箱の中で動いてしまう可能性がある小さな部品の場合は、箱の中で動いて傷ついてしまうことがないよう、あいたスペースに追加で緩衝材を詰めて対応しています。
梱包に関しては、大手ECサイトのような底面に段ボールを敷き、それと部品をラップで巻いて固定する梱包方法が理想です。小さな部品もカチっと固定するだけなので、緩衝材を入れる手間がなくなり緩衝材のコストも抑えられます。

⚙発送

住所、名前、電話番号などの発送に必要な情報は、以前までは手動で記載していたので時間や手間となっていました。
現在は外部配送サービスを導入したので、手間と時間を削減できています。発送はリンクをクリックするだけで配送に必要な情報をCSVでダウンロードできるようになっています。このCSVを外部配送サービスにアップロードすれば納品先の必要情報が書かれた送り状がプリントアプトできます。あとは印刷した送り状をダンボールに貼り付ければ発送作業は完了です。
 
⚙DX導入前と導入後の比較

ヒアリング調査をする上で大切なこと

ヒアリングで大切なことは、現場作業者とDXを進める担当者が同じ空間で仕事をすることです。上記でも紹介しましたが、日頃何気なく行っている作業はヒアリングするだけでは見逃してしまうことが多く、実際の業務を第三者の目線で見ると実はあっさり解決したことが多かったからです。
また、現場の人から提案や意見なども直接キャッチアップできたり議論したりしやすいので、綿密なヒアリングを行うにはコミュニケーション量がとても大切だと感じました。
 
実際にヒアリングを行う上で大切なことは、CAM作成→材料注文→加工→検査→出荷までの大まかな流れを理解し、今やっていることが本当に必要なのかをしっかり理解することです。大枠の流れを理解していないと、各工程に従属した作業を把握できず、どこがボトルネックとなっているかがわかりにくくなってしまうからです。
全体の流れが掴めたら、CAMの作成方法や梱包の仕方といった各工程の詳細の理解を深めていき、いよいよ本格的にDX化に向けてテコ入れを始めていきます。